受験に、就活に、仕事に効く!今さら聞けない文章術の基礎1

Skill up

受験や就活はもちろん、社会人になってからも、文章を書く技術は重要です。にもかかわらず、英語を学ぶ場合と比べると、基礎を学ぶことをスキップしてしまう人が多いのではないでしょうか。そんな人のために、今さら聞きにくい文章の書き方の基本を学びましょう。

主語と述語編

主語とは、文章の主体を表します。「誰が」や「何が」に当たる部分です。述語とは、主語の表す動作・作用・性質などを表します。「どうした(どうする)」に当たる部分です。

例えば、

「何が(誰が)どうする」の形の例文は、「犬が走る」「鳥が鳴く」です。

「何が(誰が)どんなだ」の形の例文は、「空が晴れている」「道が混んでいる」です。

「何が(誰が)なんだ」の形の例文が、「これは鉛筆だ」「ニンジンは野菜だ」です。

分かりやすい文章を書くためには、主語と述語の関係をクリアにすることが大切です。主語と述語をペアとして考えて、並べる位置をなるべく近づけることがカギです。

私たちは、文章を読むときに無意識に主語と述語を探しています。それは、主語と述語が文章の枠組みをつくっているからです。主語と述語が対応していなかったり、主語と述語が離れてたり、主語が省略されていたりすると、意味を理解するのが難しい文章になってしまいます。

文章を読むときに、意味を理解するために主語と述語を探しているならば、文章を書く時には、主語と述語をセットにする必要があります。つまり、主語を書いたら、それに対応している述語を書きます。

トレーニング1

次の文章の主語と述語を探して、わかりやすい文章に変えてみましょう。

私は、無農薬野菜を買いたかったスーパーは、隣町にありました。

ちょっと変な文章ですね。主語と述語を探すと、「スーパーは」と言う主語とセットの述語は「隣町にありました」です。「私は」という主語とセットになる述語は「買いたかった」になりそうなのですが、どうも、すっきりしません。

私は、無農薬野菜を買いたかったスーパーは隣町にありました

分かりやすい文章を書くためには、「一つの文章に、言いたいことを一つ盛り込む」ようにすることがコツです。

従って、「私は無農薬野菜を買いたい」という意味を伝えたいならば、以下のようにします。

私は、隣町にあるスーパーで無農薬野菜を買いたいと思っていました

この文章の主語は「私は」であり、述語は「買いたいと思っていました」です。

また、「無農薬野菜を買えるスーパーは隣町にある」という意味を伝えたいならば、以下のようにします。

私が無農薬野菜を買いたいと思っていたスーパーは隣町にありました

「私は無農薬野菜を買いたい」「無農薬野菜を買えるスーパーは隣町にある」の2つとも重要な情報で、両方伝えたい場合は、2つの文に分ける方法があります。

私は、あるスーパーで無農薬野菜を買いたいと思っていました。そのスーパーは隣町にあります。

トレーニング2

主語と述語の位置を近くにするトレーニングです。

鈴木さんが、勤めている工場が夏季休暇で一週間休みなので、週末に都合が良ければ、田中さんと一緒に3人でゴルフをしようと誘ってくれた。

主語は「鈴木さんが」で、述語は「誘ってくれた」です。しかし、この文章では、主語と述語の間に「夏季休暇で務めている工場が一週間休みなので」という理由を表す文章と、「週末に都合が良ければ」という条件を示す部分が挟まれていて、主語と述語の距離が離れてしまい、意味が把握しにくくなっています。

鈴木さんが、勤めている工場が夏季休暇で一週間休みなので、週末に都合が良ければ、田中さんと一緒に3人でゴルフをしようと誘ってくれた

2つの文に分けてみます。

鈴木さんの勤めている工場は夏季休暇で一週間休みです。

鈴木さんが、都合が良ければ、田中さんと一緒にゴルフをしようと誘ってくれた。

2つ目の文は、主語と述語の間に「都合が良ければ」と「田中さんと一緒に」という部分が挟まっていて、まだ主語と述語の距離が離れています。

これでどうでしょうか?

都合が良ければ、田中さんと一緒にゴルフをしようと、鈴木さんが誘ってくれた。

鈴木さんが誘ってくれたという主語と述語が近くに位置している方が、わかりやすい文章になりました。

主語と述語が離れてしまう原因はいろいろありますが、頭に思い浮かんだ言葉を順番に書く場合に、そうなります。まず、「鈴木さんが」と書き、その後、「夏休みで工場が休みであること」や「都合が良ければ」とか、「田中さんと一緒に」とか、思いつく条件を並べてみて、最後に「ゴルフに誘ってくれた」と結びます。

会話では、頭に浮かんだ言葉を順に口に出すので、主語と述語が離れる場合は珍しくありません。でも、会話の場合は、主語と述語が離れていても、ましてや、述語が省略されていたとしても、表情やしぐさによって、意味が通じることもあります。しかし、文章は、頭に浮かんだことを文字にして、読み手に理解してもらわなければならないので、言葉を並べる時にも、一度頭の中で整理することが大切になります。