入試小論文は書き言葉で書く
高校受験などでも求められる小論文を書く時に、注意しなければならないのは、日常生活で使う「話し言葉」で書いてしまうことです。小論文などのフォーマルな文章を書く時は、フォーマルな言葉遣いが必要で、その言葉が妥当かどうか、論理的かどうかを考える「書き言葉」を選びます。
「い抜き」や「ら抜き」、俺、あたしなどは使わない
日常生活で使う話し言葉には、「い抜き言葉」や「ら抜き言葉」があります。小論文などのフォーマルな文章を書く時は、「勉強をしてる」や「動画を見れる」などの「い抜き言葉」や「ら抜き言葉」は、「勉強をしている」、「動画を見ることができる」「動画を見られる」などの書き言葉にします。
一人称で書く時には、「僕」、「俺」、「あたし」などは使わず、「私(わたくし)」を使います。「すごく」や「やばい」などの言葉も、「とても」や「危険だ」または「最高に良い」など文脈に適した書き言葉を使います。
「お父さん」は父、「おばあさん」は「祖母」と書きます。「ご飯」は「食事」に、「お金持ち」は高額所得者、富裕層などの言葉を選びます。普段使っている言葉をそのまま使うのではなく、フォーマルな言葉を意識することが大事です。 そのほかの作法として、流行語や略語、俗語は使わないこと、「?」「!」などの記号は使わないことなどがあります。「です・ます」と「だ・である」を交えて(まじえて)書いてはいけません。指定がなければ、「だ・である」で書くようにします。
【トレーニング】
書き言葉を使ったフォーマルな文章になおしましょう。
(1)
お母さんに毎朝ご飯を食べるように諭された。
母に毎朝食事を取るように諭された。
「お母さん」は「母」に。「ご飯を食べる」は「食事を取る」にします。
(2)
ちゃんとした服装で参加するというあの人たちの言葉は、本心じゃない。
正しい服装で参加するという彼らの言葉は、本心ではない。
「ちゃんと」は「適切な」とか「正しい」に、「あの人たち」は「彼ら」に、「本心じゃない」は「本心ではない」にします。
(3)
俺が、「説明会には制服で参加するんだよね?」と確認したら、彼女は「私服でいいんじゃない?」と答えた。
私が「説明会には制服で参加するべきだろうか」と確認したら、彼女は「私服でいいのではないだろうか」と答えた。
「俺」を「私」に、「するんだよね?」は「?」を外して、「するべきだろうか」とし、「いいんじゃない」は、「?」を外して、「いいのではないだろうか」に修正します。
(4)
気候変動が深刻化している。なので、もっと環境問題に関心を持つべきだ。
気候変動が深刻化している。だから、もっと環境問題に関心を持つべきだ。
「なので」を、「だから(したがって、ゆえに)」に修正します。
(5)
貧乏な人は生活に苦しんでる。「しょうがない」で済ませず、対策を打ってほしい。
貧困層は生活に苦しんでいる。「仕方がない」で済ませず、対策を打ってほしい。
「貧乏な人」は「貧困層」に、「苦しんでる」は「苦しんでいる」に、「しょうがない」は「仕方がない」になおします。
【ポイント】
話し言葉と書き言葉を使い分けよう
話し言葉は、電子メールやブログ、SNSなどカジュアルなコミュニケーションをするときに使います。これに対し、書き言葉は、小論文やビジネス文書などフォーマルな文章を書く時に使います。
日常生活では、カジュアルな場面で話し言葉を使うことが圧倒的に多いので、最初は、意識的にフォーマルな文章を書く場面を増やしたり、新聞などフォーマルな文章を読むことで、語彙を増やし、言葉遣いに慣れることが大事です。 一方で、書き言葉は堅苦しく、話し言葉のほうが多くの人に伝わりやすいのも事実です。状況に合わせて、話し言葉と書き言葉を使い分けできることが理想です。