ヒカリ

Story

ワタシの名前はナスナスミ。老後を楽しく生きるのがワタシのモットーよ。同じ考え方を持つ近所のマダムやジェントルマンの仲間たちと一緒に、今日もどんなハプニングが待ち受けているか、楽しみだわ。

友人のタマガワタマコさんと一緒に、商店街を歩いていた時のことでした。おしゃべりに夢中だったタマコさんが、ワタシの肩にふと目をやり、「ナスミさん!肩!コガネムシじゃない」と言ったのです。

自分の肩を見てみると、なんと、緑色に輝いているものが動いていたのです。もう、びっくりするやら、気持ち悪いやら。思わず、「ギヤー」と叫んでしまいました。持っていたハンドバックを振り回し、足をじたばたさせて、肩を激しく揺らしました。

すると、コガネムシが振り払われ、空中に投げ出されました。コガネムシは慣れたもので、空中では羽を広げて、上手に空を飛びます。だけど、長い距離を飛ぶのは苦手みたいで、次の止まり木を探しているようでした。

ちょうどいい場所にいたのが、エンドウさんでした。コガネムシは、エンドウさんを止まり木にしようと、着陸を試みます。エンドウさんは、逃げることもせずに、おでこを滑走路として差し出します。

止まり木とは、一時的に立ち寄る場所や、安らぎを求める場所を指すといいます。エンドウさんの額で安らぐことができたようで、コガネムシは羽を休めて、黄金色の光を放っていました。

エンドウさんもまた、黄金色の光を受けて、まるで後光がさしているようでした。何か、コガネムシが肩にとまったぐらいで大騒ぎした自分がとても恥ずかしく感じました。ワタシも、タマコさんも、思わず手を合わせて、「ナームー」と言ってしまいました。

エンドウさん 「おでこをコガネムシの足で引っ掻かれて、痛いやら、気持ち悪いやら。ワシは止まり木じゃない。ナスミさん、勘弁してや」

今日の格言
「コガネムシ、なげうつ頭の光かな ナス」