声援

Story

ワシの名前はエンドウカメキチ。老後を自由気ままに生きるのがワシのモットーじゃ。同じ志を持つナスナスミさんやタマガワタマコさんら仲間たちと一緒に、今日もどんな冒険が待ち受けているか、楽しみじゃ。

この年になると、自転車を運転するのもひと苦労じゃ。とくに、坂道を登ろうとするとき、足に力が伝わらない。太ももの筋肉は、ぷるぷると震えるし、立ちこぎをしようとも、腰に力が入らない。

こっちは頑張っちゃいるんだが、後ろから見ると、右にフラフラ、左にフラフラと落ち着かない。こういうのを蛇行運転というのじゃろう。ふがいないが、どうにもならん。若いころは、颯爽と風を切って、街並みを駆け抜けていたのに。

いや、今でも、自分の頭の中では、颯爽と走り抜けているんじゃ。それなのに…。なかなかまっすぐ前に進むことができない。悔しい限りじゃ。

そんな時、沿道から、「えんどうコール」が聞こえてきた。ナスミさんとタマコさんだな。ありがたい。沿道から、えんどうコールって、駄洒落なんか言っている場合ではない。えんどう、えんどうって、熱い激励を受けて、もう頑張るしか無かろう。

自転車の車体がふらふらするのは、バランスが悪いからに違いない。目線を少し先において、肩の力を抜いて、全体のバランスを整えるんじゃ。おお、何とかまっすぐ進むようになってきた。

いつの間にか、沿道の声援が大きくなっている。ナスミさんとタマコさん以外にも、声援を送ってくださる方々が増えている。

よし、もうちょっと、このまま、ゴールテープを切るんだ。よし、やったー。みんな、応援ありがとー。

エンドウカメキチから一句
「自転車で 走る街並み 風になる カメ」

タマコです。えんどうさん、後ろに長い車列を引き連れて、どうなることかと心配したわ。無事でよかった。

タマコも一句
「えんどうさん ふらふら運転 気を付けて タマ」