なんでこんなに生きづらいの?「お金という鎖」

Essay

生きづらい世の中です。なんとなく苦しいけど、その原因はわからないという人もいます。でも、自分自身に聞いてみると、生きづらさの原因として、自分自身を縛り付けている鎖が見つかるはずです。まずは、その鎖を見つけ出し、ほどいてみると、心も体も軽くなるかもしれません。

「お金があれば、心配はない」というのは本当?

たくさんのお金があれば、たいていのものは、手に入れることができます。反対に、お金がなければ、生きていくために必要なものですら、手に入れることができなくなります。本当にそうなのかどうかは分かりませんが、そういうふうに思い込んでいる人は多いのではないでしょうか。

お金は、紙に金額を印刷したものです。偽造防止のテクノロジーが詰まっていると言われていますが、印刷した紙そのものに価値があるわけではなく、金額を印刷した紙を相手に渡せば、何かに交換できることに価値があるわけです。

最近は、キャッシュレス決済や銀行口座からの送金なども広がっているので、紙幣を渡さなくても、デジタルの数字を相手側に移動させるだけで、欲しいものが手に入れられるようになりました。 単なる紙やデジタルの数字であるにもかかわらず、お金は私たちの命運を握っています。

お金を集められる人と、そうでない人の間に、大きな違いを生み出します。このため、私たちは、できるだけたくさんのお金を集められることを考えて、仕事をしたり、投資したりしています。

年金では不十分、「投資しろ」というけど…

いったい、どのくらいのお金を集めたら、お金のことを心配せずに毎日を送ることができるのでしょうか?働いてお金を稼いでも、所得から税金や社会保険料を支払うことを求められます。今は国民負担率が40パーセントを超え、50パーセントに近づいていると言います。

少子高齢化で、将来の年金受給額が十分ではないため、もっと投資をするように呼びかけられています。しかし、インフレでモノの価格は上がる一方で、その価格に消費税もかかります。「生活するのがやっとで、投資に回すお金をねん出することもままならない」という人も少なくないでしょう。

働いて得られるお金の額は、仕事によって違います。体を動かして、1時間1000円程度の最低賃金で働く労働もあれば、年収1000万円を超える企業の管理職の仕事もあります。

「同一労働同一賃金」は、同一の仕事に従事する労働者はみな、同一水準の賃金が支払われるべきだという概念ですが、実際は、同じ会社であっても、正社員と非正規社員の間に待遇の差は存在しています。 また、国によっても経済力に格差があり、一人ひとりが稼ぐお金の価値も違います。

外国人観光客が増えていたり、日本の不動産を購入する外国人が増えているというのも、経済成長を続ける国の人たちにとっては、「同じモノでも、日本で買う方が割安になるから」という側面もありそうです。

高まるインフレ、重くなる国民負担…「お金がない!」

お金持ちの外国人が日本のモノをたくさん買うようになり、多くのお店が「どうせなら、お金持ちの外国人に買ってもらいたい」という意識が働き、日本人がモノを買うのが難しくなるという側面もあるかもしれません。

こんな難しいことを考えるまでもなく、お金を巡っては、ますます生きづらい世の中になっているような気がします。

「インフレを上回る賃上げを」という掛け声はよく聞きますが、現実は実質賃金が持続的に上がる局面にはなりません。実際に賃金を上げている企業があるにもかかわらず、この現状ですから、ましてや賃金が上がっていない人たちにとっては、生活苦に拍車がかかります。

誰かが言った。「みんなが金のいうこと聞くから」

それにしても、人はなぜ、たくさんのお金を持ちたがるのでしょうか?「欲しいものが手に入るから」「お金のことを心配しないでいられるから」という理由もあるでしょうが、その範囲を超えて、お金をたくさん持っている人もいます。

そういった人たちにとっては、「お金は、人を従わせることができる」という魅力もあるでしょう。

私たちが働きたくない日も、無理して働きに出かけるのは、労働と引き換えにお金をもらうためという面もあり、お金を持っている人にとっては「お金を出せば、言うことを聞くだろう」という考えがありそうです。

つまり、私たちがお金を欲しがれば欲しがるほど、お金によって、言うことを聞かされてしまう状況に陥ってしまいます。単なる金額を印刷した紙や、デジタルの数字でしかないお金に、振り回される人生を送らなければなりません。ではどうすればいいのでしょうか。

お金に頼りすぎない生き方が鎖をほどく

お金がなければ、生きていくために必要なものすら、手に入れることが難しくなるという仮説が本当であるならば、「お金という名の鎖」をバッサリと断ち切ることで問題を解決することは難しそうです。物々交換の世界にでも暮らさない限り、ある程度のお金は必要になるからです。

そこで、お金に振り回される影響の度合いを最小限にするためには、まず、お金に頼りすぎる生き方を改めていくことが大事になると思います。お金の入りを増やすことが難しいならば、出ていくお金を減らすことを考えなければなりません。それには、無駄な出費を減らすことが近道です。

出費を減らすというと、単なるケチになってしまいそうですが、そうではありません。お金に頼らずとも、「自分でできることは自分でやる」というサバイバル術を身につけるということです。

例えば、何か新しいことを学びたいときに、お金を出して教えてもらう選択をする前に、自分でそれを身につけることができないか、やってみるということです。シェイプアップをしたいときに、トレーナー付きの高額なジムに通うのではなく、まずは、自宅や近所でトレーニングをやってみるということです。

簡単には効果が出ないかもしれませんが、続けていればいつかは目的を遂げられるはずです。高額なジムで短期的な成果を得られたとしても、お金を払うのをやめてジムに通わなくなったとたんにリバウンドしてしまうこともあります。

自分でトレーニングする習慣を身につけていれば、リバウンドをコントロールすることが可能です。 「お金に頼らず、自分でできることは自分でする」という作法は、生きる力でもあります。身につけると、自分に自信がついてきます。

また、自分で自分をコントロールできるようになると、何にお金を使うと効果的なのかということもわかってきます。お金という名の鎖に縛られ、生きづらいと感じるなら、一度試してみてはどうでしょうか。