新聞記事の価値判断を示し、紙面の魅力を高める

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新聞のレイアウトとは、記事や見出し、写真、図表、イラストなどの素材を紙面の上に割りつける作業のことを言います。レイアウトをする人のことを整理記者といいます。

レイアウトの役割は、記事を読みやすくするために素材の配置を考えること、トップ記事、2番手記事など記事の価値判断を示すことです。優れたレイアウトによって、読者が手に取って読みたくなるような魅力を与えるなど、紙面の価値を高めることができます。

トップ記事は「アタマ」、二番手記事は「カタ」か「ヘソ」

新聞を読みやすくするためには、1つの記事について、見出しや本文、写真、図表などが近くに配置され、それらが関連していることを認識させることが大事です。見出し、本文、写真、図表のいずれかが目に入ったとしても、その内容を把握するために読者が自然に目を通すことができるレイアウトが求められます。

新聞は、読者に対して記事の価値判断を示しています。〇〇新聞と新聞名を表札のように掲げている「題字」がある1ページ目が1面ですが、新聞が最も価値が高いと考えている記事は1面のトップに配置しています。

そして、重要な記事には、ニュースの骨の情報を伝えている本記に加え、サイド記事や解説記事などの関連記事や写真、図表なども、1面や別のページに掲載していることもあります。その際は、本記のリード文の後や末尾に関連記事が何面に掲載されているかを示します。

大手日刊紙の新聞は縦書きが多いですが、縦書き新聞の場合、トップ記事は1面の右上に配置されています。トップ記事は見出しの大きさや見出しの本数、原稿の分量、原稿の本数、写真の大きさなどでも分かります。

2番手の記事は、紙面の左上の「肩」と呼ばれる場所か、トップの左下の「ヘソ」と呼ばれるエリアに配置されることが多いですが、これも見出しの大きさなどで判断することができます。

新聞のレイアウトにまつわる用語を知ろう

新聞をレイアウトするにあたって、新聞の仕組みやレイアウトの基本的なルール、専門用語などを知っておくと便利です。

【組版】

組版とは、原稿やレイアウトの指定に従って、文字・図版・写真などを配置する作業の総称のことを指します。昔は、新聞制作は活版印刷で行われていました。活版印刷は、活字を組み込み並べた組版を用意し、それにインクを塗って紙へ転写し、印刷する手法です。

印刷の工程のひとつとしての組版とは、文字や図版などの素材を配置し、紙面を構成する「組み付け」を行うことです。活版印刷は明治から昭和にかけて主流の新聞印刷方法でしたが、ワープロやパソコンの発展に伴い、1990年代には電算写植、オフセット印刷に移行しました。

それでも、新聞制作の際、「版を組む」という言い方は今もそのまま残っています。

【基本組み】

新聞の紙の大きさや、本文の文字の大きさ、縦書きか横書きかの文字の方向、字詰め、段数、左右の行数など、新聞の白紙の状態のことを基本組みと言います。この基本組は、どのページでも統一性を持たせます。

基本組みを土台に、箱組みの中で横書きにするなど、変化を持たせることも可能です。日本語は縦書き、横書きの両方書くことができるのが特徴です。伝統的な新聞は縦書きですが、最近は横書きの新聞も増えています。

【字詰め】

1段の1行に入る文字の数を字詰めと言います。最近は、文字を大きめにして、読みやすくする傾向がありますが、文字が大きいと情報量は減ってしまいます。字詰めを10~11字にして、段数を多くすることで、テンポよく読ませようとする新聞や機関紙が増えています。

字間を詰めて、行間はややゆったり取って、読みやすい基本組みにする傾向もあります。

【題字】

新聞や機関紙の名前をデザインしたものを題字と言います。いつも、同じ題字を1面の同じ位置に掲げているのが基本です。縦書き新聞や機関紙の場合、縦の題字は右上の位置に縦2~3段、横5~6行の大きさのものが多く、横の題字は、上の1段で、左右12行程度の大きさの題字が一般的です。

題字の下や脇には、発行年月日、号数、発行者名、住所、連絡先などを明記しています。

【罫線】

罫線(ケイセン)とは、複数の項目を二次的に区切るのに用いる線状の組版材料のことを指します。段と段の間は中段、段間などと呼ばれ、1文字分程度の空きを取りますが、段間に罫線を入れる方法は一般的です。記事を箱モノにするときのタタミやカコミの中には罫線を外して一体感を出します。

【見開き】

新聞の右面と左面を一体的にレイアウトすることを見開きと言います。2つのページを同じテーマで作ることが目的で、対談・討論の企画やロングインタビューの記事、スポーツ記事などで見開き面を作ることがあります。

見出しを付ける時は、両方のページが一体であることを意識して、言葉を対にしたり、連関させるなど工夫するとインパクトのある紙面にあります。写真のレイアウトや見出しの配置も、左右のページをバランスさせることが大事です。

【1面・終面】

新聞ではページのことを「面(めん)」と言います。およそ30面ある朝刊の中で、特に大きなニュースを集めているのが1面です。新聞は面ごとに地域や県内、国内、海外のニュースを整理して掲載しています。

各面の欄外に、どんな分野のニュースが載っているかを示してあります。総合面や国際面、経済面、文化面、地域面などがあり、終面には、テレビ番組表が載っている新聞が多いです。学校新聞や広報紙、機関紙などテレビ番組表を載せる必要がない新聞は、終面にもニュースを扱います。

終面は目立つページなので、大きなニュースを扱ったり、目立たせたい広告を載せたりします。