紙面レイアウトでやってはいけないタブーとは

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新聞づくりの紙面レイアウトでは、やってはいけないタブーといわれる手法があります。このタブーの方法には、タブーと呼ばれる所以があります。いくつか紹介します。

【泣き別れ】

泣き別れとは、記事を流した場合に、句点(。)で終った段落から、次の段落へ行く際に、同じように改行から始まる記事が2つ以上あり、読者がどちらの原稿に続いているか迷ってしまう組み方です。泣き別れを防ぐには、段落の最後に句点で終わらないようにすることです。

具体的には、上段の最後の行から下段へ文章をおくってつづけるか、上段の最後の行を一部削除して下段をおくりこみます。また、泣き別れになる恐れのある組み方を避けることを意識することも大事です。例えば、カコミやタタミの場合などのように、「箱モノ」の記事では、紙面の中で独立した存在になっていますので、泣き別れを心配する必要はありません。流す記事ばかりではなく、カコミやタタミを交えて配置すると、泣き別れのリスクも低くなります。

【両流れ】

両流れとは、2つの記事の流れが、どこかで合流してしまうことを指します。段落の最後の文章が句点(。)で終わってしまった場合は、泣き別れの状態も併発し、読者にとっては、2つの記事をどのように読み進めていったらいいのか分からなくなってしまいます。両流れを防ぐには、「押さえて流す」の基本を徹底し、記事の流れをコントロールすることが大事です。また、泣き別れを避けるのと同じように、カコミやタタミをバランスよく配置することで、両流れも防ぎやすくなります。

【飛びおり】

記事の流れは水の流れと同じで、下の段落の右下か、真下へ流れていく決まりです。流し記事の場合に、写真やデザイン図によって、下の段落へ流すことができないケースで、段落を飛びおりてしまうことはできません。ただし、カコミやタタミのように独立したスペースの中で記事が成り立っているときは、飛び降りがあったとしても、読者が迷うことはありません。罫(ケイ)で囲うなどして、独立した記事であることを印象付ける工夫をします。

【腹切り】

紙面の段落と段落の間が、右端から左端まで横一直線の罫線(ケイセン)だけになってしまう現象を「腹切り」と呼んでいます。見出しや写真がないために、上下に分断された感じを与えてしまい、紙面の統一感を損なってしまうデメリットがあるほか、両流れや泣き別れが起こりやすくなります。

新聞制作において、この「腹切り」を避ける背景には、印刷の作業をスムーズに行うためという一面もあります。活版印刷では、活字を組み込み並べた組版を輪転機のドラムに巻き付けて、インクを付けて印刷します。組版が「腹切り」になっていると、巻き付けた組版の活字が崩れやすいため、この「腹切り」のレイアウトをタブー視したようです。

今は、印刷技術が進化し、活字を組む必要がないため、流し記事の紙面では腹切りを避けるものの、区画型の紙面では、上下の区切りを意図的につくって、腹切りによって紙面を分割し、それぞれを対照させる技法も活用されています。

【見出しの直列(エントツ)】

2段見出しや3段見出しが上下に直列になってしまう状態を「見出しの直列」または「エントツ見出し」と言います。見出しと見出しの間の空間があればいいのですが、空間が段間のみだと、1つの見出しであると錯覚させたり、紙面をタテに分断してしまうなど、バランスを欠きます。上下に区画を設け、対比させるような場合は効果的ですが、流し記事の中で見出しの直列が起こると、読みにくく、見た目も醜くい紙面になるので避けるようにします。

【見出しの並列】

同じ位置の段に同じ、同じ大きさの見出しが並ぶ状態を「見出しの並列」と言います。特集記事などで、意図的に同じ大きさの見出しを並べて比較する紙面では効果的な技法です。しかし、まったく別の記事で、対比させる意図もないのに、見出しが同じ段に揃ってしまうのはバランスを欠き、美しい紙面とは言えません。

【シリモチ(ドンツキ)】

紙面の最下段に、二段以上の大きい見出しや大きな写真などを配置することを「シリモチ」、関西では「ドンツキ」といいます。目立つ見出しは上の方に置くのが基本であり、大きな見出し下に配置されていると、紙面のバランスを欠きます。ただ、読みにくくなるわけではないので、絶対に避けるべき技法ではありません。ニュース報道では、大きなニュースが突然飛び込んでくることは日常茶飯事なので、やむを得ないときは横見出しにするなど工夫して、大きなニュースを収容します。

【天からフンドシ】

記事を流す時、1本のニュースの原稿が1段目から最下段までダラダラと流れてしまうことを「天からフンドシ」と言い、紙面のバランスを欠くので避けるようにします。紙面のレイアウトは「押さえて流す」のが基本であり、必然的に記事はあるスペースに固まったほうが読みやすいからです。インターネットのない時代は、気になる新聞記事を切り抜き、スクラップブックに張るという習慣がありましたが、上手なレイアウトで作られた記事は、この記事の切り抜きがやりやすいのが特徴です。