新聞記事の多くは「逆三角形」、そのコツは?
新聞記事の多くは、「逆三角形」型の文章で書きます。逆三角形にするコツは、一番伝えたいことを、書き初めの1文目に入れるか、もしくは、一段落目のどこかに入れることを意識することです。また、伝えたいことに最低限必要な説明を足して、読者が何についての文章なのかを理解できるようにします。その後の段落で、その理由や背景の説明、場面や様子の描写、識者や専門家の感想などで展開します。
新聞記事の基本「5W1HとWorth」とは
「逆三角形」型の文体とともに、新聞記事で最低限必要な情報とは、「いつ(When)」、「どこで(Where)」、「誰が(Who)」、「何を(What)」、「なぜ(Why)」、「どのように(How)」という5W1Hです。さらに、何を伝えたいのか、伝えるべきなのかという記事の価値(Worth)を強く意識します。
この5W1Hと、記事が読者に対して持つ意味・値打ち(Worth)を加えた6つが、報道・ニュース記事の重要な要素です。この6要素のうち、どれが一番重要性を持つかは、個々のニュースによって違ってくるし、どんな記事にも6つの要素が含まれているというわけでもありません。最大多数の読者の関心事は何か、伝えるべき焦点は何かをまずは判断することが大切です。
一般の文章では、結論を最後に書く場合も多いですが、ニュース報道記事はいきなり結論を出す書き方が基本です。その後に、経過的に重要なことや説明的なことを順次書きます。この文体が「逆三角形」となるのです。読者にまずニュースのポイントを伝え、文章を簡潔にします。また、専門的な内容の記事には、誰でも理解できるような優しい説明を添えます。
5W1HとWorthを練習してみよう
5W1Hの6要素のうち、何が最もニュース性が高いのかについては、ケース・バイ・ケースであり、全ての記事に6要素すべてを含める必要もありません。大切な要素を中心に記事を組み立てていきます。
中学校の卒業式の記事を学内新聞に掲載することを想定します。次の原稿は、卒業式のリード文です。
A中学校の卒業式が3月10日、○○県△△市□□の同校体育館で開かれました。式の冒頭で、〇山△子校長が「世の中が大きく変わっていく中で、中学校で学んだ力強く生き抜くための力が役に立つはずです」とあいさつしました。
さて、この原稿の中で5W1Hはどれでしょうか?
このように、実際の原稿では、それぞれの要素が、「5W1H」と、1対1で対応しているわけではありません。
読む人に、何を知らせるべきなのかを考えながら、原稿を書くことが大事です。見たことすべてを書くわけにはいきませんので、何を書き、何を書かないのかを取捨選択する作業が求められるわけです。
Worthを入れて練習しよう
続いて、Worthを入れて練習します。さきほどの○○高校の修学旅行の文章を題材にします。
〇〇高校の1年生から3年生の修学旅行が、10月中旬から順次行われます。3年生は韓国・ソウル市に2泊3日、2年生は長野県軽井沢市に2泊3日、1年生は広島県広島市に3泊4日の日程で行われます。○○高校の修学旅行は、新型コロナウイルスの感染拡大中は自粛しており、3年ぶりの再開となります。
5W1HとWorthはどれでしょうか?
Worth(価値)とは、記事が読者に対して持つ意味・値打ちのことでした。この記事では、各学年によって、関心は違います。しかし、○○高校共通の価値としては、コロナによって中断していた修学旅行が3年ぶりにようやく再開することでしょう。
この記事の場合は、「Worth(価値)」=○○高校の修学旅行が3年ぶりに再開する、になります。