新聞記事の種類やスタイル
新聞記事の文章のスタイルはどれも同じではありません。記事のスタイルにはいくつかの種類があります。具体的に言うと、ニュースの本筋の情報をまとめた本記と、本記に関連する情報を提供するサイド記事、ニュースの背景などを説明する解説記事などです。
本記とは、5W1Hなどのニュースに最低限必要な情報をまとめた記事のことです。たいていのニュースは、本記1本で済ませるので、本記を書く際には、必要な情報を簡潔にまとめる技術が求められます。
1面のトップを飾るような重大なニュースでは、本記だけではなく、サイド記事や解説記事なども作成して、様々な角度からニュースを掘り下げることがあります。サイド記事とは、レストランの「サイドメニュー」の言葉と同じように、本記に添える記事という意味です。
サイド記事の内容については、ニュースで取り上げた事象の背景や問題点、今後の焦点など様々です。解説記事も、サイド記事と同じように、解説する内容は様々です。
取材した情報をもとに記事を書き分ける
現場の記者の意見や編集会議の方針などによって、何をサイド記事に書くのか、何を解説記事に書くのかが決まります。事件や事象は刻々と変化するので、その変化に対応し、それぞれの記事で取り上げる焦点や内容を変えることも珍しくありません。
記者や編集者は、集めてきた情報をもとに、さまざまなスタイルの記事を書き分けます。素材の良さを活かし、料理する料理人と同じで、その腕前が記事の価値を左右します。
さらに、ニュースをストレートに捉えるだけではなく、何かに焦点を当てて、物語風に仕立てで読ませるような特集記事や、専門家にある特定のテーマについて話を聞くインタビュー記事、2人以上の人物に語り合ってもらう対談記事や座談会記事など様々な種類があります。
ストレートにニュースを伝える場合を除いては、逆三角形型の文体にこだわらず、読者に興味を持って読ませることを念頭に工夫して書くことが求められます。
記事のスタイルを練習してみよう
〇〇高校の修学旅行の例題を使って、記事のスタイルを練習します。韓国を訪問する3年生の旅行について、本記、サイドの2本の原稿を作ります。新聞づくりを話し合う編集会議では、本記は旅行の日程や狙いなどを書くことが決まったと仮定します。
○○高校3年生の秋の修学旅行は、「日韓の文化交流」をテーマに、韓国・ソウル市を2泊3日で訪れます。
韓国の伝統文化を楽しめるエリアである「仁寺洞(インサドン)」や、韓国サブカルチャーの発信地である「弘大(ホンデ)」などの街歩きを楽しむほか、地元の□□高校の3年生と文化交流に関するディスカッションも予定されています。
「仁寺洞(インサドン)」の路地には、伝統工芸品や陶磁器、骨とう品などの店舗が並び、土産物を探すのには最適です。王朝時代には貴族や官僚たちが住んでいた伝統文化を感じさせる街並みで、ギャラリーで現代作家たちのアート作品を楽しむこともできます。
「弘大(ホンデ)」は、韓国有数の美術大学である「弘益大学(ほんいくだいがく)」の周辺にあり、若者たちが集まるサブカルチャーの発信地です。弘大壁画通りはピカソ通りとも呼ばれ、ポップな壁画アートであふれています。
このほか、日本でも人気を集めたドラマの舞台である「梨泰院(イテウォン)」や、韓国の代表的な観光地である城郭門「南大門(ナンデムン)」、問屋市場と巨大ファッションビルが共存するファッション街「東大門(トンデムン)」なども訪れる予定です。
この文章が、さきほどの本記のリード文の後に続きます。
地元の□□高校の3年生との文化交流に関するディスカッションは、10人ずつのグループに分かれて行われます。日本と韓国は時に対立する関係にありますが、若い世代がそれぞれの国の良さを認め合い、未来志向の関係を築くことの大切さを学ぶことが狙いです。
伝統文化やサブカルチャー、スポーツの分野ごとに、自分の国の好きなところ、相手の国の好きなところを出し合って、その理由などについて意見を交わします。その後、グループごとに話し合いの内容を簡単にまとめ、プレゼンテーションします。
サイド記事では、この後、ディスカッションの材料にしやすいように、韓国の伝統文化やサブカルチャー、スポーツなどについて参考となる情報を書いてみてはどうでしょうか。サイド記事を新聞紙面にレイアウトするときは、本記とは別に見出しをつけることが一般的です。